2025年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
でもあんまり踏み込み過ぎて解釈を深めようと思うと十五歳とかSTORM BRINGERまで走って中…まで言い始める予感がするからイヤだこれ以上好きなものを増やすと追いかけるのがたいへんなので新しいものにどハマりしたくない #版権作品
(「わたしはなけなしのボーナスを得たのにパーッとお金を使うあてもない社畜の狂人なので既に週頭の時点で2期とDEADAPPLEのサントラを購入しました」の札を首から下げる図) #版権作品
アニメの時期が今更わからんのだけどBEASTは本来DEAD APPLEの入場特典190ページ小説なので、ということは小説黒の時代とアニメ黒の時代までは履修したからBEASTより先にDEAD APPLE攻めてもよくない??しかし本当に時期がわからんけどアニメ2期までは履修しておきたい…いやDEAD APPLEドスくんおるぽいから3期か4期まで行くべきなのか…?? #版権作品
うおおおBEAST原作読むぞ読むぞしたけど読みながら寝落ちしたので栞開いたらここ…絶対読んでませんね…で戻り、無益 #版権作品
休日、ひたすら寝て終わった
all ■
トウジンカグラ■■■■■
王女と騎士 ■■■■■
翼角 ■■■
風紋記 ■■
じょ ■
文披全創作でやりたいって言って後半戦開始時点これ。
なおhbsは歴史解釈の二次創作のようなものなので自身の創作からは除外されています。
トウジンカグラ■■■■■
王女と騎士 ■■■■■
翼角 ■■■
風紋記 ■■
じょ ■
文披全創作でやりたいって言って後半戦開始時点これ。
なおhbsは歴史解釈の二次創作のようなものなので自身の創作からは除外されています。
Day17「空蝉」 #文披31題 #小咄 #じょ
色とりどり、鮮やかに光。痛いほどの熱を湛えた陽光に晒されて、黒く濃い影が輪郭を描く。
透鏡の小さな遮光眼鏡で、その幾百ものを光を遮る。あの豊かな色彩を美しく、興味深く、静かに心を弾ませながら眺めて酒を舐めていた頃もあった。しかしながら今は薄黒く透かし見るのが精一杯で、それだって目を背けている。
随分と低くなった目線を地面に向けて、小さな体躯を益々縮こまらせて、嗚呼、嫌だ嫌だと厭うて日陰へ向かう。近くを見る使い魔と、遠くを見る使い魔が前に後ろに従っている。
目を伏せて、耳に入る音は聞き流して、一人の方へ、ひとりの方へ。過去とは真逆の在り方をする己は何だろうか。最早誰もかつての畏怖を込めた異名で己を呼びはしない。ただ狩るべき符牒として、魔女、と括られる。その声を恐れて息を潜めている。どうしてだか生きている、まだ。どうして。
暗がりに向かう足先、俯いた地面に黒々とした影が差す。それは踊るように軽やかで、けれど何よりも濃く暗い影だった。影の持ち主がひとつ動く度に、あんまりにも重い影が引きずられて、まるで涙みたいに飛び散っていく。遮光眼鏡の向こうにその景色を見つける。
かつての異名には程遠い間の抜けた名で呼ばれて、小さな頭を持ち上げた。随分高い位置にある相手の頭は燃える炎の色彩を宿して虚ろで、爛々とした瞳は底が見えないほどの悲しみに枯れ果てている。嗚呼、嫌だ嫌だ。お互いに、どうしてだかまだ生きている。彼がいるから、まだボクはいるに違いない。幾分か低く落ち着いた、かつての己の声が聞こえた。
(ジル/じょ)
夏の空蝉。
閉じる
色とりどり、鮮やかに光。痛いほどの熱を湛えた陽光に晒されて、黒く濃い影が輪郭を描く。
透鏡の小さな遮光眼鏡で、その幾百ものを光を遮る。あの豊かな色彩を美しく、興味深く、静かに心を弾ませながら眺めて酒を舐めていた頃もあった。しかしながら今は薄黒く透かし見るのが精一杯で、それだって目を背けている。
随分と低くなった目線を地面に向けて、小さな体躯を益々縮こまらせて、嗚呼、嫌だ嫌だと厭うて日陰へ向かう。近くを見る使い魔と、遠くを見る使い魔が前に後ろに従っている。
目を伏せて、耳に入る音は聞き流して、一人の方へ、ひとりの方へ。過去とは真逆の在り方をする己は何だろうか。最早誰もかつての畏怖を込めた異名で己を呼びはしない。ただ狩るべき符牒として、魔女、と括られる。その声を恐れて息を潜めている。どうしてだか生きている、まだ。どうして。
暗がりに向かう足先、俯いた地面に黒々とした影が差す。それは踊るように軽やかで、けれど何よりも濃く暗い影だった。影の持ち主がひとつ動く度に、あんまりにも重い影が引きずられて、まるで涙みたいに飛び散っていく。遮光眼鏡の向こうにその景色を見つける。
かつての異名には程遠い間の抜けた名で呼ばれて、小さな頭を持ち上げた。随分高い位置にある相手の頭は燃える炎の色彩を宿して虚ろで、爛々とした瞳は底が見えないほどの悲しみに枯れ果てている。嗚呼、嫌だ嫌だ。お互いに、どうしてだかまだ生きている。彼がいるから、まだボクはいるに違いない。幾分か低く落ち着いた、かつての己の声が聞こえた。
(ジル/じょ)
夏の空蝉。
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BEASTコミカライズ履修したから拾った日読んでもよくない??ダメ??とりあえず小説BEASTへのモチベーション上がったので次の休みに(読めたら)読むぞ院長先生と敦君の関係は原作コミックスよりしっくりする世界かも知れないでもコミカライズの描写原作小説挿絵との解釈違いがある心がふたつある #版権作品
Day16「にわか雨」 #文披31題 #小咄 #翼角
自分は空――カラだ。空でいい。空であるべき、だった。
無道を名乗るのであれば。そんな矛盾にはとうに気づいていて、ならばもう旧きだけを縁にした時代錯誤の存在など本当に消えてしまえばいいのだと己に存在を関したのが先の春。たった一人、約束の子どもを守護するためだけに、己は『無道空』だった。
と、去年を振り返りながらまるいつむじを見下ろす。子どもは資料室の床、無道の足下に無造作にしゃがみ込んで低い声で呟いている。無道の適当な相槌に気づくこともなく、真宮が、俺だって、あいつはいつも、そんなことをずっと垂れ流していた。青少年の真摯な悩みで、愚痴で、もしかすると惚気だった。
適当な相槌を続けながら、施錠せず閉じただけの扉に視線を向ける。何分あれは何もかも隠さないから、恐らく無道でなくても見えない接近に気づくだろう。当の子どもだけは気づかないのだが。
その、年齢相応で、ほんの少しで揺らいではその度に強固になってゆく関係を笑う。そんなところにばかり気づいた子どもがむっとした様子で顔を上げて、無遠慮に開け放たれた扉に肩を跳ねさせるまであと少し。目の前で子どもたちの言い合いが始まるまではもうしばらく。
自分は空だ。そのはずだった。けれど今はもう、荒れては凪ぐ雲模様を見下ろす空のようだとすら思う。その事実にまた可笑しくなって笑うが、扉が開け放たれた音に掻き消され誰にも気づかれることはなかった。
(無道と大和/翼角高校奇譚)
空、くう、から、そら。
閉じる
自分は空――カラだ。空でいい。空であるべき、だった。
無道を名乗るのであれば。そんな矛盾にはとうに気づいていて、ならばもう旧きだけを縁にした時代錯誤の存在など本当に消えてしまえばいいのだと己に存在を関したのが先の春。たった一人、約束の子どもを守護するためだけに、己は『無道空』だった。
と、去年を振り返りながらまるいつむじを見下ろす。子どもは資料室の床、無道の足下に無造作にしゃがみ込んで低い声で呟いている。無道の適当な相槌に気づくこともなく、真宮が、俺だって、あいつはいつも、そんなことをずっと垂れ流していた。青少年の真摯な悩みで、愚痴で、もしかすると惚気だった。
適当な相槌を続けながら、施錠せず閉じただけの扉に視線を向ける。何分あれは何もかも隠さないから、恐らく無道でなくても見えない接近に気づくだろう。当の子どもだけは気づかないのだが。
その、年齢相応で、ほんの少しで揺らいではその度に強固になってゆく関係を笑う。そんなところにばかり気づいた子どもがむっとした様子で顔を上げて、無遠慮に開け放たれた扉に肩を跳ねさせるまであと少し。目の前で子どもたちの言い合いが始まるまではもうしばらく。
自分は空だ。そのはずだった。けれど今はもう、荒れては凪ぐ雲模様を見下ろす空のようだとすら思う。その事実にまた可笑しくなって笑うが、扉が開け放たれた音に掻き消され誰にも気づかれることはなかった。
(無道と大和/翼角高校奇譚)
空、くう、から、そら。
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序盤は夏を意識してたけど途中からもうええかになってる。だってトウジンカグラと翼角はともかく他の世界に四季とかあるかわかんないし…
Day15「解読」 #文披31題 #小咄 #王女と騎士
一日の終わりあたりに、今日は何をした、という話をする。
それは他愛もない雑談の成りをして、その実、慎重を期した情報収集だった。話を振るこちらは真実の全てを決して話しはしない、それに引き替え若き監督官殿は宙を見上げて指を折る。夜の寒村、室内で頼りになる明かりなど俺の灯した魔術照明しかない。そこに今日の一日が映り込んででもいるかのように、目を細めて見上げながら一日を振り返っている。
曰く、村内の見廻り、三日前にぎっくり腰になった爺さんの荷車の修理、村で一番腰の曲がった婆さんのところで薪割り、子どもたちの山狩りの付き添い、漁師の爺さんたちと仕掛けた罠のチェックと修繕。成程、王宮から派遣された若き監督官殿らしい仕事ぶりである。島の通過時期ではないから航路の監視がないのは理解できるとして、全く素晴らしい。
――というようなことを、俺は極めて婉曲に表現した。お前が手伝ってくれて、村の連中も感謝してるよ、そんな感じに。
特に肯定は返ってこなかったし、否定めいた謙遜も聞こえなかった。ただ温い沈黙があった。その不自然な会話の隙間に、手慰みのように整理していた薬品箱から会話相手へ視線を転じた。
少年とは決して呼べないが、成人と聞くと唸りたくなる。監督官はそういった年頃の男だった。それがじいっと、何を言うでもなく俺を見つめていた。どこかぼんやりもした視線だった。もしも指摘すればハッとして取り止めるだろう、その程度の無意識に違いなかった。
けれど俺は、肩書きばかり立派な子どもの視線に意味を見出してしまう。野放図に伸びる銀髪が暖色の照明の下、やわらかくまろく佇んでいる。俺よりも幾分低い位置にある頭の天辺を見つめる。そこに何かが収まるべきのように思える。
俺の手が動いたのも、そういったものに看過された無意識に違いなかった。ありがとうな、だったか、助かるよ、だったか、とにかくそういった類いのことばが唇から滑り落ちていた。銀色の光彩が細められて、密かな喜色を滲ませていた。だからこれで正解だったのだと思う。思うが、それは正解でいいのだろうか?
(ルークとシーレ/王女と騎士)
それを読み解けてしまう時点でもう不正解。
閉じる
一日の終わりあたりに、今日は何をした、という話をする。
それは他愛もない雑談の成りをして、その実、慎重を期した情報収集だった。話を振るこちらは真実の全てを決して話しはしない、それに引き替え若き監督官殿は宙を見上げて指を折る。夜の寒村、室内で頼りになる明かりなど俺の灯した魔術照明しかない。そこに今日の一日が映り込んででもいるかのように、目を細めて見上げながら一日を振り返っている。
曰く、村内の見廻り、三日前にぎっくり腰になった爺さんの荷車の修理、村で一番腰の曲がった婆さんのところで薪割り、子どもたちの山狩りの付き添い、漁師の爺さんたちと仕掛けた罠のチェックと修繕。成程、王宮から派遣された若き監督官殿らしい仕事ぶりである。島の通過時期ではないから航路の監視がないのは理解できるとして、全く素晴らしい。
――というようなことを、俺は極めて婉曲に表現した。お前が手伝ってくれて、村の連中も感謝してるよ、そんな感じに。
特に肯定は返ってこなかったし、否定めいた謙遜も聞こえなかった。ただ温い沈黙があった。その不自然な会話の隙間に、手慰みのように整理していた薬品箱から会話相手へ視線を転じた。
少年とは決して呼べないが、成人と聞くと唸りたくなる。監督官はそういった年頃の男だった。それがじいっと、何を言うでもなく俺を見つめていた。どこかぼんやりもした視線だった。もしも指摘すればハッとして取り止めるだろう、その程度の無意識に違いなかった。
けれど俺は、肩書きばかり立派な子どもの視線に意味を見出してしまう。野放図に伸びる銀髪が暖色の照明の下、やわらかくまろく佇んでいる。俺よりも幾分低い位置にある頭の天辺を見つめる。そこに何かが収まるべきのように思える。
俺の手が動いたのも、そういったものに看過された無意識に違いなかった。ありがとうな、だったか、助かるよ、だったか、とにかくそういった類いのことばが唇から滑り落ちていた。銀色の光彩が細められて、密かな喜色を滲ませていた。だからこれで正解だったのだと思う。思うが、それは正解でいいのだろうか?
(ルークとシーレ/王女と騎士)
それを読み解けてしまう時点でもう不正解。
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躁転を感じる…ナチュラルハイならそれはそれで困るし好みの二人をキメてアッパーになってるならそれもまた怖いが…
やっぱりBEASTを読まずに拾った日まで飛ばすのはよくない…三次元人が二次元の世界を表現してるの見るとムズムズする悪癖持ってるからBEASTの劇場版に手を出せる気はしないが小説BEAST→拾った日の履修を前提にDEAD APPLEまでは観なければ…原作読んでアニメ観て二次創作まで漁って自分の一次創作して二次創作の原稿しようとするの馬鹿すぎじゃない?体いっぱい欲しい
2017年に書き散らかしすぎ。何があったんだ2017年
ナナキと月影が一番書いててウゾゾッてなるので冷静になろうと思って掌編を浚い直したらPC内でデータが散逸しまくっていて大混乱。ここもサイト内でまとめておかなければいけないのか…本編が1話しかないのに… #翼角
トウジンカグラ以外は意味不明だと思うけどでも自分の中ではトウジンカグラが新参で他はもっといるし全員満遍なく書きたいから偏らんようにカウントしよ~って今更数えたら既にトウジンカグラに偏っていた。これからは自分にしかわからないタイプの創作で埋まると思うので自分のための作文を極めていくぜ
全部の創作でやりたいとは言ったけどミコトさんだけは自分の中にあの美しさが見つけられないので出てこない
残念だったね…
残念だったね…
無限に眠いけど無限に起きておきたい寝ずに稼働する肉体が欲しい
更に言うなら労働に従事する時間がもったいないので働かずに生きていきたい
更に言うなら労働に従事する時間がもったいないので働かずに生きていきたい
Day14「浮き輪」 #文披31題 #小咄 #翼角
溺れる者は何とやら。
とはいえ、掴んではいけないものもあるのではないか。本郷大和が後悔したのは救出が為された後だった。
見上げた水面は夜の中、逆光の輪郭だけを描いていた。救いを求めて伸ばした己が手の輪郭すら曖昧で、光輪めいて淡い影だけがその瞬間のよすがだったのだ。引き上げられた陸の上で水を吐いて咳き込みながら、やっと大和は己を救った者を見た。つまり後悔した。
「――山伏より俺を選ぶなんて、随分賢くなったじゃねぇか。ん? 大和」
「――げ、きっ……!」
思わず漏れた声は再び咳き込む合間に消える。朧月に淡い色素の髪を溶かす同級生はあまりにも、あまりにも機嫌よくしゃがみ込み大和の背を擦る。否、叩く。そうかそうか元気かよかったな、など心にもないことを呟きながら、そして傍らの月を見上げた。
「月影」
夜闇と月光から滲み出るように現れる人影。人、などではないことは大和も理解している。夜の高校のプールサイドにはあまりに違和感のある着流し姿に、胸元はゆうに超えて伸ばされた髪。尖った耳に、伏せがちな人ならざる色彩の瞳。その静かな熱は名を呼んだ少年にだけ注がれている。
その熱など知らぬげに、歌うように、主たる少年は己の鬼に告げた。
「片付けろ」
応える声はない。ただ大和の頬をやわい風が通り抜けて、続けてぞわりと、全身が総毛立つ。大和の背を戯れに支える少年だけは平然と笑みを浮かべ、これから起こる人外の所業を眺めている。
(大和とナナキと月影/翼角高校奇譚)
気をつけろ大和!ナナキルートだ!
閉じる
溺れる者は何とやら。
とはいえ、掴んではいけないものもあるのではないか。本郷大和が後悔したのは救出が為された後だった。
見上げた水面は夜の中、逆光の輪郭だけを描いていた。救いを求めて伸ばした己が手の輪郭すら曖昧で、光輪めいて淡い影だけがその瞬間のよすがだったのだ。引き上げられた陸の上で水を吐いて咳き込みながら、やっと大和は己を救った者を見た。つまり後悔した。
「――山伏より俺を選ぶなんて、随分賢くなったじゃねぇか。ん? 大和」
「――げ、きっ……!」
思わず漏れた声は再び咳き込む合間に消える。朧月に淡い色素の髪を溶かす同級生はあまりにも、あまりにも機嫌よくしゃがみ込み大和の背を擦る。否、叩く。そうかそうか元気かよかったな、など心にもないことを呟きながら、そして傍らの月を見上げた。
「月影」
夜闇と月光から滲み出るように現れる人影。人、などではないことは大和も理解している。夜の高校のプールサイドにはあまりに違和感のある着流し姿に、胸元はゆうに超えて伸ばされた髪。尖った耳に、伏せがちな人ならざる色彩の瞳。その静かな熱は名を呼んだ少年にだけ注がれている。
その熱など知らぬげに、歌うように、主たる少年は己の鬼に告げた。
「片付けろ」
応える声はない。ただ大和の頬をやわい風が通り抜けて、続けてぞわりと、全身が総毛立つ。大和の背を戯れに支える少年だけは平然と笑みを浮かべ、これから起こる人外の所業を眺めている。
(大和とナナキと月影/翼角高校奇譚)
気をつけろ大和!ナナキルートだ!
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Day13「牙」 #文披31題 #小咄 #リボ
鈍く鋼が鳴る。微かに火花すら散る。刹那の花も得物の唸りと風切り音に消え失せる。
距離を取る。棍を正中に構え直す。型を取るのは基本だが、切っ先の向こうで相対する人は無造作に突っ立っている。磨き抜かれた寵姫のような黄金の髪は無造作に、砂と一緒に風と靡く。腰に巻かれたほつれた肩布がばさばさとはためいて、手足もただその場に突っ立っている。二点、右手が長尺の鉄扇をこちらに突きつけて、天穹の頂点より尚遠い碧眼が静かにこちらを見つめている。
それだけで動けない。額に滲んだ汗が、雫になって垂れ流れていく。乾いた風が幾度か二人の間を通り抜けて、そして最後にふっと止んだ。心底、呆れた、という笑いと共に。
「――止めだよ、止め。理由はわかるかな、ティル」
「……はい」
ど、と。雫になって流れた汗が、それでは足りずに噴き出していく。水分がそこに全部持っていかれたかのように口の中が乾いている。少し気を抜けば尻から座り込みそうで、ただ棍を構え続けることで耐えた。
少年の姿勢に、麗人はまた笑った。先ほどよりも柔らかい微笑だった。相変わらず瞳の碧は遠かった。
「それはよかった。わからないほど勘が悪いようなら、これから先君に付き合うことはないだろうからね」
歌うように告げながら、靡く金の髪を押さえる。鉄扇は閉じて腰帯に仕舞われ、つまり稽古の時間は終わりだと告げている。
あの黙して相対する間、この人の頭の中で自分は何度打ち倒されたのだろうか。少なくとも何一つ抵抗できなかったことだけは少年にもわかった。実際、身動ぎすらも叶わなかった。
踵を返す背中を前に、ようやっと棍を下げる。乾いた口の中を舌でなぞる。
あの人を前にして、何もできない。全てを見透かされているとすら思う。腹の底で静かに飼い慣らしている遠くの意図すら。そのときが来ても何もできないのではないかと。この怯えも丸ごと全部、研ぎ澄まさなければいけない。せめてあのつまらなさそうに去りゆく背に一突きを見舞う、そんな夢想ができる程度には。
(ティルとカイ/風紋記)
手を合わせるまでもなく脳内で一方的にボコられるけど心の内には小さな獣を飼っている
閉じる
鈍く鋼が鳴る。微かに火花すら散る。刹那の花も得物の唸りと風切り音に消え失せる。
距離を取る。棍を正中に構え直す。型を取るのは基本だが、切っ先の向こうで相対する人は無造作に突っ立っている。磨き抜かれた寵姫のような黄金の髪は無造作に、砂と一緒に風と靡く。腰に巻かれたほつれた肩布がばさばさとはためいて、手足もただその場に突っ立っている。二点、右手が長尺の鉄扇をこちらに突きつけて、天穹の頂点より尚遠い碧眼が静かにこちらを見つめている。
それだけで動けない。額に滲んだ汗が、雫になって垂れ流れていく。乾いた風が幾度か二人の間を通り抜けて、そして最後にふっと止んだ。心底、呆れた、という笑いと共に。
「――止めだよ、止め。理由はわかるかな、ティル」
「……はい」
ど、と。雫になって流れた汗が、それでは足りずに噴き出していく。水分がそこに全部持っていかれたかのように口の中が乾いている。少し気を抜けば尻から座り込みそうで、ただ棍を構え続けることで耐えた。
少年の姿勢に、麗人はまた笑った。先ほどよりも柔らかい微笑だった。相変わらず瞳の碧は遠かった。
「それはよかった。わからないほど勘が悪いようなら、これから先君に付き合うことはないだろうからね」
歌うように告げながら、靡く金の髪を押さえる。鉄扇は閉じて腰帯に仕舞われ、つまり稽古の時間は終わりだと告げている。
あの黙して相対する間、この人の頭の中で自分は何度打ち倒されたのだろうか。少なくとも何一つ抵抗できなかったことだけは少年にもわかった。実際、身動ぎすらも叶わなかった。
踵を返す背中を前に、ようやっと棍を下げる。乾いた口の中を舌でなぞる。
あの人を前にして、何もできない。全てを見透かされているとすら思う。腹の底で静かに飼い慣らしている遠くの意図すら。そのときが来ても何もできないのではないかと。この怯えも丸ごと全部、研ぎ澄まさなければいけない。せめてあのつまらなさそうに去りゆく背に一突きを見舞う、そんな夢想ができる程度には。
(ティルとカイ/風紋記)
手を合わせるまでもなく脳内で一方的にボコられるけど心の内には小さな獣を飼っている
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プレモルって青と金で概念☔🌾なのでは?
月の後半に入りしかも夏休みになってくると逆に書類が減っていくのでウヒョーなんかやらないかんことある気がするけど急いではないはずなのでもう帰るぜ!定時だぜ!!明るいぜ!!!!のきもちでプレモル買って帰ってきたけどよく考えたら明るい中定時退勤というだけで週頭から歓喜してビール買って帰ってるの異常ではないか?定時退勤は普通のことでは??と気づいてしまった🍻
有志がpixiv百科事典を充実させてるパターンとかも結構ドボンする要因だよなって #版権作品
凄まじい勢いで原作と小説とアニメの該当回まで履修したからやめよう。2期のアタマ4話過去話に使う上そこの回の最後のサブタイトルで作品名回収するなんてことある??ビックリしちゃうな… #版権作品
「割と最近だけどまだ人のいるジャンル」だと思ってたけど2013年開始だからふり~とかマジェプリの時代だった割と最近じゃなかった。リアルタイムでセンサーに引っかかってなくてよかったアニメの構成とか劇場版とかその特典で脳を灼かれておかしくなるところだった #版権作品
ていうのを見るとつい「やっぱりルークは死んで永遠になってくれ」と思ってしまうからやめた方がいいよ #王女と騎士
相手の生きる世界を願うifとか2人の出会いとか生き残った方が死んだ方の服装に影響されてるとかおいおいそこまでそんな…ヘキを踏み抜くことが…!?!? #版権作品
死んだら永遠になるので死に別れる2人がヘキだという世迷言を随分昔からほざいてるけど、ついうっかりとんでもなく高濃度の「物語が始まった時点で終わっている」「その死が1人の生きる指針である」「己を犠牲にしても死を覆して相手の生きる世界を願う」を浴びてウソだろ…こんな…というきもちとお前(高濃度のヘキ)…こんなところにいたのか…のきもち。推し絵師が描いてて先般のイベントで後ろのスペースに位置していて姪がほぼ全巻所持していたばかりに… #版権作品





