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やっぱり自分1人の城が一番なのだわ…スマホブラウザからの文字サイズが気になってたけど縮小表示で解決

日記

熊野の本名はクナドだけど波佩がヒノモト風の名前として与えたし、七郎も本来の名前はシチロウだけど7番目だから七郎って名付けて露の国に譲り渡した生家を嫌がった彼女のためにナナオって波佩が与えて彼だけが呼んでいい名前になってるので、波佩は人を名前で縛り過ぎ。でも火群/穂群といい「七宝」といいトウジンカグラは名前が存在を定義してるとこはある #トウジンカグラ

メモ

トウジンカグラ人物一覧
#トウジンカグラ #設定

<七宝の国>
火群/穂群:妖刀・紅蓮の仕い手。今上帝の犬
瑠璃:七宝に坐す今上帝。魔女
飾:今上帝を補佐する『祭玖衆』首席
刻:『祭玖衆』次席。火群の寝床
董女:金、銀、玻璃、瑪瑙、真珠、珊瑚、硨磲、玫瑰の今上帝に仕える少女たち
しぐれ:料理茶屋『こんこんや』女給
凩:『こんこんや』店主。しぐれの伯父
鈴嶋明道:学び舎『ふくすず舎』の手習い師匠
清佐:『ふくすず舎』に遊びに来る子ども
三葉:『ふくすず舎』の学童。清佐の姉
小六太:『ふくすず舎』の学童。三葉の幼馴染
信乃:元『ふくすず舎』の学童。施薬院の下働き
弥助:『ふくすず舎』の学童。泥面子の強者
平太:『ふくすず舎』の学童。弥助の腰巾着
東路晴馬:妓楼『灯朧屋』の楼主
吉郎次:『灯朧屋』の番頭
辰砂:故人。かつて七宝に坐した先帝

<フジの里>
氷雨:神剣・蒼天の仕い手。アメの一族当主
シロ:氷雨に付き従う少女
凍雨:里長、アメの一族の先代当主。氷雨の父
しずり:故人。氷雨の母、凍雨の妻にして妹
野分:養鶏をする青年。氷雨の乳兄弟
そよ:里長の家の女中。氷雨の乳母で野分の母
狭霧:有力者の一人。氷雨の伯母で凍雨の姉
山籟:長老の一人
銀竹:長老の一人
紫燕:剣術道場の師範代。尾実の国出身

<露の国>
露上波佩:領主、露下の城主。珠謳派
熊野:求道者。波佩の従者で外つ国人
七郎:忍びの者。波佩の従者
世織:露上の城主。波佩の母
露上波桐:先代領主。波佩の父で世織の夫

<伊角の国>
伊角耀灌:伊角の国の領主
虎八:武士。耀灌の従者
沙羅:豪商の娘。耀灌の正妻

<鉤原の国>
鉤原和正:鉤原の国の領主。嶽洲に仕える
鉤原空正:武士。和正の妹
鉤原家正:武士。和正の弟
白頭巾:法師筆頭。鉤原に仕える

<嶽洲の国>
嶽洲継信:嶽洲の国の領主。珠謳派
嶽洲元信:先代領主、継信の父。先のヒノモト将軍

<尾実の国>
海石榴橙駒:故人。刀匠、紫燕の弟

<他>
紅蓮:七宝に存在する妖刀。火群が仕える
氷雨:アメの一族が受け継ぐ神剣。氷雨が所持する
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メモ

フジの里では刀刃のかたちをした蒼天を神剣として祀ってるので、蒼天だけが唯一の神様だし七宝とかいう国で現人神名乗ってる奴は不敬だし、神剣の守護を任ぜられた一族の里(とフジの人が認識してるのであって現実は異なる)に生きる以上男子は皆刀剣の扱いを知るべきだし、でも蒼天以外の刀刃など無価値不敬なので表立っては木刀しか持たないんだろうな。ということなので蒼天を氷雨に譲って他の真剣所持してる凍雨は里長だけど最高に不敬オブ不敬だし人の手で刀刃を打つなんて無意味で愚かなので紫燕の実家の話など知れたら鼻で笑われるやつ #トウジンカグラ #設定

メモ

35そういう面から考えると波佩は男性とは一時の快楽のために性愛を持って関係を持つことはあるけど女性とは胤の関係から軽率に体の関係持ったりはしないし、つまり全てを最後まで愛して囲うつもりはない大変理性的で選択的な性愛を御してるし、「熊野に怒られるので迫られても七郎に手を出さない」と言い張ることを考えると七郎だけが完全に別枠かも知れない。立場上義理の娘みたいな存在だから言い含められるまでもなく手を出すなという話だけど、言い含められなくても波佩は手を出さないし、でもそこを言い訳に出すってことは他とは認識が違うもしくはその理由付けの方が体裁が良いということに #トウジンカグラ

メモ

波佩は愛情イカレポンチ、友愛情愛の区別とか信頼を注ぐ尺度とか範囲とか行動が常人とズレてるのであって全て本当の愛なのかも知れないしただの傲慢なのかも知れない。熊野は波佩のこと盲信して愛してるけど波佩にとって熊野は大勢の1人かも知れない #トウジンカグラ

メモ

ならもう波佩と熊野もトウジンカケラでは?と思うけどここの2人は刀刃も人も神も関係ないからトウジンカケラではないかも知れないし本編と関係ないやつは全部トウジンカケラかも知れない白驟くんとほまちちゃん含め #トウジンカグラ

メモ

紫燕と野分の話はスピンオフというよりこれもまたトウジンカケラかも知れない、別種の刀と人の話だしと思ったけどなんで勝手に紫燕と野分の話として独立しようとしてるんですか #トウジンカグラ

メモ

19の凍雨はよく蒼天の髪を切ったぐらいで収めたな!と思ったけどいや…首ぐらいいくかも知れん…別に死なんし…となったのでそれはサイトに収納するときの加筆修正する自分に任せるしこう考えると凍雨が蒼天への怒りを極限に昂らせたとき=蒼天を手放すことを決めたとき=しずりが死んだときは怒りのまま蒼天の首スパンとやったら死体はそのままにまた蒼天が出てきてスパンとやって蒼天が出てきてスパンとやって蒼天が…してるうちに落ちた生首も笑ってるしいつの間にか生まれたばかりの赤子や氷雨やしずりの顔をした生首が笑い続けたりしたんだろうな凍雨と蒼天にはそんな過去があるんだろうなと思いました
#トウジンカグラ #設定

メモ

トウジンカグラ、ほぼ初期作のリボが70人規模になってこの世界を御し切れないという反省から火群氷雨瑠璃シロだけで基本完結するシンプル構造にしたはずなのに結局じわじわ増えてるし紫燕先生みたいなスピンオフ紛いの本編に関係ないとこまで広がってるの、同じ轍を踏んでる感漂ってきた

メモ

何故か1投稿500字までだと思い込んでたけど全然オーバーできる気がする。とはいえ短いなりの利があるのだが

メモ

27スッ…と改名した紫燕先生。本編に出番ないのに???? #トウジンカグラ #設定

風井は「鍛治→かじ→かざ」だったけどカザリンが本名込みで「かざ」の音も「風」の字も使ってるし名前負けした字面だなあ
鞴→吹ご→ぶき(「吹」の意も「武器」の汲んでいい感じ!)→吹・ぶきを冠する姓を検索→津吹(尾実(おさね)の国は長船=瀬戸内の転じたものなのでいい感じ!)→予測変換の海石榴(つばき)→首から落ちる花だけど控えめで優しい花言葉がいい!採用!

これでも字面がガチャガチャしているがどうせ家名を名乗ることはないのでヨシ!なお拙者画数とかは気にしない侍ゆえ
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メモ

フジの里の師範代・紫燕と氷雨の幼馴染・野分の話 #トウジンカグラ #設定

・野分 のわき
氷雨の乳兄弟。
氷雨が幼い頃には一緒に剣を習ったが今は家業を継ぎ養鶏をしている。雌鶏の鬼丸が天敵。
氷雨の趣味や懊悩を笑うことなく真摯に相談に乗るが、誇張した風聞を吹き込み揶揄うこともしばしばある。氷雨の真剣かつとんでもない発言や行動に振り回されることもしばしばある。

・海石榴紫燕 つばき-しえん
フジに唯一存在する剣術道場の師範代。
フジの里から神剣の教えを請い移り住んだ剣士。その来歴ゆえ師範とは認められていないが現在の実質の道場主。里の男児(稀に女児)に剣術のみならず書や礼儀作法も教えている。
生家は刀鍛冶の家系。本人は剣に秀でたこともあり家督を弟に譲り尾実(おさね)の国で領主に仕えていた。後に弟を含めた生家が領主への謀反を企てる一派に刀を提供した咎によりお家取り潰しとなり、弟たち家人への処罰を任ぜられる。自らの手で弟を誅して以降心を病み、幼い頃から聞き及んでいた神剣に赦しを求めるためにフジへと出奔する。

野分はフジの里から来た紫燕に憧れがある。道場通いは基本的に子どものうちだけなため野分は紫燕に学んだことはない。
紫燕は無条件に信頼を寄せてくる野分を弟と重ねてしまうところがあり、好ましく思うと同時に罪悪感を抱いてもいる。
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メモ

現パロ☔️🌾と同じ「BLとしてならこっちの方が出来が良い・一般受けする概念」のやつ、やめろやめろー!!
でも本編は圧倒的に☔️🌾なんだなあ☔️🌾は最高~~~~なんだが???? #トウジンカグラ

メモ

フジの里唯一の道場の師範代・紫燕先生と氷雨の乳兄弟・野分のニョキニョキ生えてきた関係性があまりに“良”なので待て待てまだそのときじゃないステイステイしている
#トウジンカグラ

メモ

#トウジンカグラ #設定
里の長老方はアメの一族の縁者で「端ノ地(はのち)」=端の血の家名持ち。当主の姉とか弟とか当主の2番目以降の妹とか妾の子とかと縁を結んだ家系。近親婚の一族なので兄弟姉妹の数はかなり少ないし習わし通りに血を継がなかった代も多い。なので
凍雨の姉の夫=氷雨の伯父であるこんこんやの凩も「端ノ地凩」で長老の席に就く権利はある。
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メモ

山籟殿と銀竹殿に本編で会える気がしないしここまで来るとぜーんぶ二次創作です本編がどうなるのかみじんこほどもわからない。本編で氷雨の当主問題を論じる隙がないことは知ってる
#トウジンカグラ

メモ

アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑪ #トウジンカグラ #小咄

我を持つことに其方らが価値を見出すならば、奪い合うのもまた一興。血の縁よりも血を流す、我はそれでも大いに構わんぞ。なあ?」
 蒼天が小首を傾げる。陽光の煌めきにさらさらと結い髪が滑るが、その眩しさを見つめる者などこの場にはいない。里を取り仕切る老人たちは皆伏せて震えるだけである。
 ひたすらの沈黙に、蒼天は笑んだまま瞬きを繰り返す。腹の底まで浚うような息を吐き、そのまま吐き捨てるように凍雨が口を開いた。
「神剣様を奪い合い血を流すなど不敬と言いたいようだが」
「そうか。我が良いと言うのだから良いのになあ。残念残念」
 ひょいと肩を竦めた蒼天は、ふと思いついたように手を打ち鳴らした。凍雨は相変わらず嫌そうに目を背け、そして老人たちはびくりと背を跳ねさせる。
「ならば世継ぎの件はどうだ? 爺共が拘るならせめて穂群が孕めるように我の方で」
「それは向こうと話せ、失せろ」
 風鳴りに陽光が散る。凍雨が耐えかねて振るう刃に蒼天は唇を尖らせた。ふわりと浮きながら瞬きの間に神剣は姿を消す。
「あーあ、つまらんなあ」
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ネタ

アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑩ #トウジンカグラ #小咄

刃を握る凍雨は平然として目を剥く銀竹を見下ろしている。
「――盛り上がってきたなあ」
 更に高みから、長閑な声が陽光の如くやんわりと降り注いだ。
 その場にいた老人たちが皆、天を仰ぐ。銀竹も喉元の刃先を厭わず皆に倣い、凍雨だけが視線を揺らすことなく舌を打って納刀した。舌打ちと刃が鞘を滑る音にころころと笑いが重なり、老人たちが一斉に平伏す。
「ああよいよい。そのままでよかろうに、爺共は相変わらず大仰なことだなあ」
 空の色を映す羽織が揺れる。天井近くの宙に座していた神剣は笑みながら、仕い手たる当主の席にふわりと座してみせた。
 大広間でただ一人、凍雨だけが眉間に深々と縦皺を刻んで立ち尽くしている。蒼天はにこやかにかつての仕い手を見上げた。
「皆凍雨のように堂々としておればよかろうに。なあ?」
「喋るな」
「はっはっは、其方は相変わらず達者でよい。爺共も言など弄せず、これぐらいの勢いを持つがよかろうに」
 平伏す肩が動揺に揺れる。蒼天は大広間に居並び伏す老人たちを、一人一人眺めて笑う。
「我は血になど拘っておらん。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑨ #トウジンカグラ #小咄

「……後は若い二人に任せるということで、ね! 長老方でどうぞご歓談の程!」
 縁台の影からそれだけを叫び、ヒュッと走り去る影がある。おいあれは養鶏の、そよのところの倅が、囁く老人もいたが、里長たる凍雨が立ち上がったことで皆一様に押し黙った。
 凍雨は冷えた視線を先刻まで息子が座していた席に落とす。耐えかねて砕けた杯だけが転がっている。
 続けて大広間を一瞥し、凍雨は静かに口を開いた。
「当主も辞した以上、この席は終いだ。残りたい者は好きにせよ」
「ま……待て凍雨!」
 一方的に言い捨てる凍雨に、思わずといった様子で山籟が立ち上がった。こめかみに青筋が浮き、その眦は吊り上がっている。
「ふざけるのも大概にしろ!」
「私はふざけてなどおらん。そう思うそちらに問題があろう」
「問題は貴様らだろう! お前が真っ当に育てんから氷雨があんなうつけになるのだ!」
「そもそも育ててすらおらんだろう。やはり貴様があの娘を娶ったばかりに――」
 濃藍が冷える。刺す。
 山籟に乗って罵る銀竹が悲鳴を上げた。喉元には鋼が突きつけられ、
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑧ #トウジンカグラ #小咄

 成程、あいつがまた何か吹き込んで穂群を連れてきたな。そう思うものの、乳兄弟に腹を立てる余力もない。むしろ感謝するべきだろう、今は。
 開き直り、氷雨は足袋の足裏で白砂を踏み締める。羽織の裾を掴む穂群の指を捕まえて、自分の指に絡ませる。そろそろと握り返される温度にほっとする。
「……お前なあ、腹が減るには早いだろう」
「減ったもんは減ったンだよ。別にオレはこっちでもいいけど」
「こッ、こではやめろ! ……何が食いたい」
「米」
 他愛のない会話にゆるゆると力を抜く。その分、指先がきゅうと力を込めて絡まって氷雨はちいさく微笑んだ。
 いずれ老人たちとは、きちんと話をしなければならない。それが叶うのがいつなのかは見当もつかないが、父とも話はできたのだ。彼らが氷雨を侮り穂群を蔑み続ける以上、先は長いだろうが――絶対に、彼らを説き伏せる。そのためには今のままの自分たちでは足りない、その自覚もある。今は少しだけこの安寧に身を預けて、そして。
 握り返される温度を心地良く思いながら、氷雨は微かに唇を引き結んだ。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑦ #トウジンカグラ #小咄

 そうだ隣に父がいたのだとはっとする。穂群に引っ張られるがままたたらを踏んで、氷雨は揺れる視界に恐る恐る凍雨を捉えた。
 あれほど無関心に瞑目して座していた凍雨は、こちらを――正しくは穂群を見ていた。視線が絡んだのは刹那のことで、すぐに父の濃藍の視線は伏せられる。まるで頷くかのように。
 穂群はそれ以上何を言うこともなく、ずかずかと老人たちの列を割った。かと思えばよりによって山籟と銀竹の間を跨ぎ、玄関ではなく縁側から外へ出ていく。
「おい、穂群」
「あ? 履き物ぐらい我慢しろ、家まですぐだろォが」
「違う、いや違わないが、」
「ンだよ、俯いて黙ってンだから用事なんかねェだろ」
 自分だけはちゃっかり草履を履き、庭園の白砂をざくざく踏み荒らして穂群が氷雨を振り返る。その言葉にぐっと言葉を呑み――結局、氷雨は肩を落とした。
 下がった肩のまにまに、置き去りにした大広間を振り返る。老人たちは気色ばんで、あるいは薄気味悪そうにこちらを見送っていた。縁台の影には野分の姿があり、引き攣った愛想笑いでこちらに手を振っている。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑥ #トウジンカグラ #小咄

「――氷雨」
 笑い声が、止まった。
 顔を上げる。息を止める。
 氷雨の前に、家に置いてきた筈の穂群が立っている。居並ぶ老人たちの真ん中を堂々と割り、手つかずの氷雨の膳を訝しそうに見下ろしながらしゃがみ込む。
「遅ェンだよ。腹減った」
「は? 穂――ッむ⁉︎」
 きらきらとうつくしい穂波を見つめる間もなく影が差して、閉じ込められる。
 頬骨が軋むほど強く掴まれて、がちりとちいさくも硬質な音が上がる。熱が奔った瞬間にもっと熱く、ぬるりと湿った熱に覆われる。流れる血を逆撫でるように舌が這って、そのままむにりと中に入り込む。何かを探すように氷雨の口の中を弄って撫で回して、じゅるじゅると啜られる。
 一体どれ程の時間が経ったのか。ぷはっとどこか幼い吐息を入って氷雨の唇が離された。頬を掴んでいた指が雑に氷雨の頤を拭い、そのまま自身の唇をなぞって指を吸う。
「足ンね。帰ろォぜ、氷雨」
 湿った指で氷雨の羽織を掴み、穂群は何事もなかったかのように立ち上がった。されるがまま、つられて氷雨も立ち上がる。
「じゃあな、親父さん」
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑤ #トウジンカグラ #小咄

 老人たちの頭にはそれしかない。氷雨の意思など、話など、最初から聞く気がない。フジの里において絶対のアメの一族、老人たちに益を産むにはままならぬ氷雨たちに非難を浴びせかと思えば擦り寄り、空虚でありながら里に対しては我々が守り営んでいるのだと大きな顔をして。
 ――帰りたい。腹が煮える。疲れた。時間の無駄だ。
 どうしてこんな口ばかりの年寄りに蔑まれ良いように悪様に扱われなければならないのか。
 自分はいい。己が取るに足らない、未熟で半端な人間だと、それぐらいの理解はある。けれどもしぐれや、何より――穂群のことを認めるどころか存在すらしないように、冗談だとか戯れだとか、そんな風に笑われることが耐えられない。
 俺と、あれが、ここまで何を思って何を選んで何を許し許されたのか、そんなことも知らない連中に。ただただ二人で同じ屋根の下、ひとつの衾を分け合って眠って、目を覚まして、食事をして言葉を交わす、それだけの暮らしを続けたいだけなのに。
 俯く氷雨の言葉など要らぬとばかりに、老人たちの空っぽな笑い声が行き交っている。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日④ #トウジンカグラ #小咄

「当主殿の七宝での御役目は終わったというのに妹御は未だにフジに戻らず、当主殿も里長も呼び戻す気がない様子」
 しかしながら神剣が妄言を吐くより先に、銀竹が弛まぬ舌鋒を繰り出してくる。最早感謝すればいいのか気を揉めばいいのか腹を立てればいいのかもわからない。
「しぐれは関係ありません。私は既に伴侶を――」
「であればどうです、当家の孫など。気立ても良いし歳も近い。習わしには添えませんが、天ノ端の過去には外の血が入ったこともございます。今更構いますまい」
「山籟殿がよいならば当家の姪は如何です。当主殿より少しばかり年嵩ではありますが、当家は先々代と縁がございます。他家よりも血は濃いかと」
「妾はいくらおってもようございますよ、当主」
 少なくともこの場に氷雨の味方がいないことはよくわかる。
 空の杯に罅が入る。氷雨は力の入り過ぎたそれを見つめながら、貼り付けた笑みが曖昧に溶けていくように感じた。
 アメの一族は神剣を継ぐ。その血を濃く絶やさぬよう。
 反面、付け入る隙のない大いなる一族に縁を、利権を繋ごう。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日③ #トウジンカグラ #小咄

「冗談など、」
「ああいえ失礼。冗談ではございませんな、フジの外から男の妾を迎えたと、酔狂な話で」
「まだお若いのですから、当主殿には多少の遊びの目溢しもされましょう。里長も何も仰らないようですし」
 山籟が視線を送れど、凍雨は何も聞こえていないかのように杯をただただ干している。
 氷雨と凍雨の間では穂群の存在について決着がついている、筈だ。父は結局明確な言葉を持たなかったが、そうでなければかつて嫌悪のまま投げ落とした存在と真っ当に会話もしなくなった実子が、最愛の妻が暮らしていた別邸に二人で住まうことを黙認などするまい。
 ――しかしながら、凍雨が黙認しようと里の老人たちが納得する訳もない。逆に凍雨が黙認しているからこそ腹正しく認め難いのだろう。それは氷雨とて理解できる。だからといって、
「で、男が御世継ぎを生めると?」
「それは――……」
「アメの一族の当主がまさか世継ぎも持たぬなどとは申しますまい」
 氷雨は言葉を呑んだ。老人たちの声を笑い話程度にしか捉えない神剣が頭上で何か言いたげにしている気配を察する。
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●アクセス解析研究所
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