No.171

#トウジンカグラ #設定
火群と氷雨の幸福と罪と罰の話

ずっと呟いているとおり、火群は生き方が自己決定できない状態だけど彼がやっていることは許されることではない。責任能力がないとしても実行したのは火群自身。
罪には罰が与えられるべきなので、彼はいずれ代償を支払うことになる。それは彼の存在の否定だったり信乃からの糾弾だったりするのかも知れないし罪には釣り合わないのかも知れない。ゆくゆくはあの時の自分が許されないことをしていたと火群は気づくだろうけれど、残念ながら物語の主題ではないらしいので薄らとしたまま終わるのかも知れない。
正しい穂群の名前を得て薄らと気づいたとして、彼は贖うには至らない。思いつかないし、恐ろしいし、気づきたくない。
だからといって恐らく、彼が幸せになってはいけない訳ではない。幸せになるべきだと強く背中を押すのも違うだろう。そういう迷いを持っているのが火群が穂群だと認めて手に掛けるのを留まった氷雨。
氷雨自身、発端はあの時幼い子どもを無責任に拾って名付けて愛した自分だと思っているので、穂群の背負っているものは自分も背負うべきだと、背負いたいと思っている。
幸せになるべきだ、とは決して言わないけれど、やっと一人の人間として歩き出した穂群と共に歩いて、いつか彼が罪を贖うならば絶対に傍にいようと思う、今はただ穂群が一つひとつ、生きるための当たり前をこなしていくのを氷雨は見守っている。
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