No.1202

ヤーッ!ほむるりの波動! #トウジンカグラ #進捗
火群の頭を泡立てる向こうに、滔々と紡がれた言葉が蘇る。朝の湯殿に響くこともしなかった声を、淡い笑みを、泣き出す寸前のような迷子の子どものような、女の表情を思い出す。
 火群は寝起きの頭を掻く。絡まる髪に指を通し、こめかみに指を滑らせる。
 そこはもう、痛みはしなかった。
「――わァったよ」
 衾を抜け出し、立ち上がる。朝餉――この刻限なら昼餉か――は用意されていないが、着替えは紅蓮と共に傍らに並べられていた。寝衣をその辺りに脱ぎ捨て、拾い上げた長着に袖を通す。女が硬い表情で火群を見上げている。
「何も訊かんのか」
「訊かねェよ」
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日記

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