No.23, No.22, No.21, No.20, No.19, No.18, No.177件]

#トウジンカグラ #設定
里の長老方はアメの一族の縁者で「端ノ地(はのち)」=端の血の家名持ち。当主の姉とか弟とか当主の2番目以降の妹とか妾の子とかと縁を結んだ家系。近親婚の一族なので兄弟姉妹の数はかなり少ないし習わし通りに血を継がなかった代も多い。なので
凍雨の姉の夫=氷雨の伯父であるこんこんやの凩も「端ノ地凩」で長老の席に就く権利はある。
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メモ

山籟殿と銀竹殿に本編で会える気がしないしここまで来るとぜーんぶ二次創作です本編がどうなるのかみじんこほどもわからない。本編で氷雨の当主問題を論じる隙がないことは知ってる
#トウジンカグラ

メモ

アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑪ #トウジンカグラ #小咄

我を持つことに其方らが価値を見出すならば、奪い合うのもまた一興。血の縁よりも血を流す、我はそれでも大いに構わんぞ。なあ?」
 蒼天が小首を傾げる。陽光の煌めきにさらさらと結い髪が滑るが、その眩しさを見つめる者などこの場にはいない。里を取り仕切る老人たちは皆伏せて震えるだけである。
 ひたすらの沈黙に、蒼天は笑んだまま瞬きを繰り返す。腹の底まで浚うような息を吐き、そのまま吐き捨てるように凍雨が口を開いた。
「神剣様を奪い合い血を流すなど不敬と言いたいようだが」
「そうか。我が良いと言うのだから良いのになあ。残念残念」
 ひょいと肩を竦めた蒼天は、ふと思いついたように手を打ち鳴らした。凍雨は相変わらず嫌そうに目を背け、そして老人たちはびくりと背を跳ねさせる。
「ならば世継ぎの件はどうだ? 爺共が拘るならせめて穂群が孕めるように我の方で」
「それは向こうと話せ、失せろ」
 風鳴りに陽光が散る。凍雨が耐えかねて振るう刃に蒼天は唇を尖らせた。ふわりと浮きながら瞬きの間に神剣は姿を消す。
「あーあ、つまらんなあ」
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑩ #トウジンカグラ #小咄

刃を握る凍雨は平然として目を剥く銀竹を見下ろしている。
「――盛り上がってきたなあ」
 更に高みから、長閑な声が陽光の如くやんわりと降り注いだ。
 その場にいた老人たちが皆、天を仰ぐ。銀竹も喉元の刃先を厭わず皆に倣い、凍雨だけが視線を揺らすことなく舌を打って納刀した。舌打ちと刃が鞘を滑る音にころころと笑いが重なり、老人たちが一斉に平伏す。
「ああよいよい。そのままでよかろうに、爺共は相変わらず大仰なことだなあ」
 空の色を映す羽織が揺れる。天井近くの宙に座していた神剣は笑みながら、仕い手たる当主の席にふわりと座してみせた。
 大広間でただ一人、凍雨だけが眉間に深々と縦皺を刻んで立ち尽くしている。蒼天はにこやかにかつての仕い手を見上げた。
「皆凍雨のように堂々としておればよかろうに。なあ?」
「喋るな」
「はっはっは、其方は相変わらず達者でよい。爺共も言など弄せず、これぐらいの勢いを持つがよかろうに」
 平伏す肩が動揺に揺れる。蒼天は大広間に居並び伏す老人たちを、一人一人眺めて笑う。
「我は血になど拘っておらん。
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アメの一族当主・天ノ端氷雨の誕生日⑨ #トウジンカグラ #小咄

「……後は若い二人に任せるということで、ね! 長老方でどうぞご歓談の程!」
 縁台の影からそれだけを叫び、ヒュッと走り去る影がある。おいあれは養鶏の、そよのところの倅が、囁く老人もいたが、里長たる凍雨が立ち上がったことで皆一様に押し黙った。
 凍雨は冷えた視線を先刻まで息子が座していた席に落とす。耐えかねて砕けた杯だけが転がっている。
 続けて大広間を一瞥し、凍雨は静かに口を開いた。
「当主も辞した以上、この席は終いだ。残りたい者は好きにせよ」
「ま……待て凍雨!」
 一方的に言い捨てる凍雨に、思わずといった様子で山籟が立ち上がった。こめかみに青筋が浮き、その眦は吊り上がっている。
「ふざけるのも大概にしろ!」
「私はふざけてなどおらん。そう思うそちらに問題があろう」
「問題は貴様らだろう! お前が真っ当に育てんから氷雨があんなうつけになるのだ!」
「そもそも育ててすらおらんだろう。やはり貴様があの娘を娶ったばかりに――」
 濃藍が冷える。刺す。
 山籟に乗って罵る銀竹が悲鳴を上げた。喉元には鋼が突きつけられ、
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