コンソールに踵を引っかけて、ぐらぐら、背もたれを揺する。 男は頭の後ろで手を組みながらのんびりと呟いた。 「平和だなあ」 眇められた目には深い闇と、ぽつんと浮かぶ青い星が映っている。ところどころ緑や茶を混ぜ、絵の具を指で伸ばしたような白をのせる星、地球。 「平和だねえ」 男の傍らで少女が頷いた。無限に冷たい宇宙の闇の中、青い星を見守るように二人の乗る船は浮かんでいる。 ただ浮かんでいる。それは間違いなく平和だった。