翼角高校奇譚



T 桜吹雪の影追い人

 四月、心浮き立つ始まりの季節。翼角高校に入学する本郷大和も例外ではなく、進学と入寮という新生活に胸を膨らませていた。
 ちっとも姿を見せない同室者、曰く鬼を連れた同級生、自称名前のない教師、男女問わず誰とでも関係を持っていると噂の先輩に囲まれながら、「会いたい人に会える」と噂される七不思議の一つ・摩訶桜に大和は誰を見るのか――

U 泡沫の扉、幻影の金魚姫

 桜は散り、梅雨入りに衣替えの時期。翼角高校では水泳の授業が始まるが、例年になく授業中の怪我や事故が続く。
 一時的にプールは封鎖、同時に生徒たちの間ではプールの中に幼い少女の幽霊を見たという噂が流れ始める。七不思議・青門と関わりがあるのか? 大和と鷹臣が噂を探ると、水泳部部長にして生徒会長・東宮椎奈の姿が浮かび上がり――?

V 迷いの夜と星灯り

 夏休みがやってきた! が、大和は盆まではと寮に残り、鷹臣もそれに倣う。
 うだるような真夏日、寮生たちの買い出しジャンケンに負け寮を出た大和の前に現れる一人の女性。大型二輪車を駆る彼女の顔は鷹臣に瓜二つで――などと訝る間もなく、大和は彼女に拉致されてしまう。波乱と影の蠢く夏は幕を開けた――!

W 君よ、大地よ、乱舞せよ


X 翼角・イズ・ザ・ワンダーランド?

 今回の主人公は……鷹臣!?
 冬休み前の大掃除中、生徒会室に飾られていた石にたまたま触れてしまう大和。七不思議の一つ・鬼石と言われるそれだと聞かされる中景色が一変、気づけば鷹臣と大和はアリスの世界に立っていた――!?

Y 踏歌は終焉を纏い

 翼角高校一月の恒例行事、マラソン大会。海岸沿いのコースを走れば言葉なき歌が聞こえるという七不思議。
 今年も練習中幾人かの生徒が歌を聞くが、空耳とも聞き間違いとも言われ真偽は定かでない。そんな海岸沿いの道で大和は海を調べていると自称する奇妙な二人組・碧流と夜半に出会う。

Z 無色の言祝ぎ

 隔年で二月に行われる文化の祭典・春告祭。今年は祭と皆既日食が重なり、校内外のお祭りムードは最高潮に達していた。
 そんな翼角高校最後の七不思議・喰陽の噂がまことしやかに囁かれる中、ついに七匹目の鬼がナナキの、そして大和の前に姿を現す――


番外編